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逆・閑話休題

2010 年 6 月 3 日 木曜日

今日は紙まつりの話題から少しはずれまして私の得意分野である『吹奏楽』
について語ってみましょう。

「吹奏楽」は、字義通りには、「吹いて奏する音楽」であり、演奏に用いら
れる楽器の発生方法、あるいは演奏主体の編成によって定義されます。実態
としても軍楽隊やアマチュアの吹奏楽団では、吹奏楽編成のための楽曲だけ
ではなく有名曲の編曲版を演奏することがしばしば行われています。したがって
冒頭で述べた通り、もっとも広義には管楽器を主体として演奏される音楽の
総称とする場合がほとんどです。
狭義の吹奏楽団としては、主に西洋管楽器によって十数名から100名ほどの
規模で編成された楽団で、木管楽器と金管楽器の双方を含み、打楽器がこれに
加わります。管打楽器以外では、コントラバスが加えられることは多く、楽曲に
よってチェレスタ、ピアノなど鍵盤楽器、ヴァイオリン、ハープ、チェロのほか
電子楽器を加えることもあります。多くの国では軍楽隊のほか、消防や警察など
公的な機関に属する楽団が中心ですが、日本とアメリカでは学校などのアマチュア
吹奏楽団が圧倒的に多くあります。1900年前後には、ギルモアやスーザの楽団
のような、職業的吹奏楽団が活躍しましたが、今日ではほとんど見られなくなって
います。
開国後日本では陸海軍の軍楽隊が西洋音楽を演奏する合奏組織として式典などで
演奏していたのに対し、日清・日露戦争のころに西洋管楽器で編成された楽隊が
民間にも多く現われた際に、軍楽隊による音楽と区別するために普及したとされる。
その後、軍楽隊が管弦楽の演奏もはじめたため、大正期には軍楽隊の演奏も
「吹奏楽」に含むことが定着しました。昭和初期には学校・職場のアマチュア
吹奏楽団は「ブラスバンド」という呼び方も一般化しましたが、太平洋戦争に
突入するころには「吹奏楽」を積極的に用いるようになりました。戦後になると
「ブラスバンド」の語も復活するが、昭和30〜40年代には学校・職場の
アマチュア吹奏楽団がアメリカのスクールバンドを参照するようになり、
行進など実用的な目的ではなく、コンサートなどでの演奏を重視するように
なりました。
「吹奏楽」の語の用法としても、このような変化を重視する傾向があります。
英語では、bandのみで吹奏楽団を指すこともあったが、ロックバンド、
ジャズバンドが一般化するに従って、区別する必要がでてきました。
イギリスでは民間の吹奏楽団は独自の金管楽器による編成で発達したため
brass bandの語が用いられ、ちなみにbrass bandは「金管楽器で編成されたバンド」
の意味であり、厳密に言うと吹奏楽の事を「ブラスバンド」というのは間違いである
と言う意見もあります。しかしアメリカでも金管楽器が中心の編成が多く、brass band、silver bandなどの語が用いられたほか、territory band(地域の楽団)、service band
(軍楽隊の代用として活動したため)、school band(学校の楽団)などが使われている軍楽に類する演奏以外を示唆するものとしては、concert bandがあり、近年ではwind band、
wind orchestra、symphonic bandの使用が増えており、吹奏楽に対応する語としては
wind musicが用いられるようになっている。なお、wind ensembleは、独自の
編成を指すものとして区別されるが、演奏団体の名称などでは本来の編成が
守られていないことも多いです。
吹奏楽は、戦時の信号、式典などでの音楽など野外での演奏、室内でも
食事などでの実用的な機会での演奏を担うものとして発達しましたが、
特に19世紀以降、バルブの発明など楽器の操作性向上や価格の低廉化が進み、
兵器の発達により軍楽隊の活動が戦場での演奏ではなく戦意高揚や慰安などの
ための演奏に移行したこと、野外コンサートが開かれるようになり多くの
聴衆を集めるようになったこと、アマチュアの演奏団体が管楽器を中心とした
編成で結成されたことなどによって、階級を超えて広がっていきました。
こうした状況は同時に、行進曲のほか、オペラの抜粋や軽音楽など既存の楽曲を
編曲して演奏することを一般的にしました。現在でも日本のアマチュア吹奏楽団の
演奏会では、オーケストラ作品や流行曲の吹奏楽アレンジなどが演奏されており
編曲作品は「アレンジ曲」、特に吹奏楽編成のために作曲された楽曲は
「(吹奏楽)オリジナル作品」と呼ばれて区別されています。また、東欧諸国では
オスマン帝国占領下で軍楽隊が組織され、西欧諸国の軍楽隊は植民地に派遣され
現地にも設置されたため、西洋風の軍楽隊は世界各国で存在するほか、従来の
文化と混ざり合って独自の発達をしていることも多くなってます。
実用に供する音楽として発達し、歴史的にも様々な立場に位置づけられてきた
こともあって、「吹奏楽」が包摂する内容は極めて多様となっている。さらに
アマチュア吹奏楽団が圧倒的多数を占めることによって、吹奏楽編成のための
楽曲だけでなく有名曲の編曲が重用され、演奏技術や楽団の運営など教育的な
側面が強調される傾向もあって、吹奏楽の包括的な記述は困難であり、また
その研究は十分に進んでいるとは言い難いのが現状である。